気温上昇1.5度に抑制、温暖化に伴う被害額2200兆円軽減も

干魃(かんばつ)でひびが入った田んぼ=2016年4月、ベトナム・ビンダイ(共同)
干魃(かんばつ)でひびが入った田んぼ=2016年4月、ベトナム・ビンダイ(共同)【拡大】

 ■米スタンフォード大分析

 地球温暖化に伴う気温上昇をパリ協定の努力目標の1.5度までに抑えられれば、2度上昇する場合と比べ、今世紀末までの累積の被害額が20兆ドル(2200兆円)少なくて済む可能性があるとの分析を、米スタンフォード大のチームが14日までにまとめた。厳しい温暖化対策はコストがかかりすぎるとの声が産業界の一部にあるが、チームは「世界的な利益につながり、温暖化の影響を強く受ける貧しい国に特に大きな恩恵をもたらす」と強調した。

 温暖化が進むと水不足や食料生産の低下、洪水、海面上昇などの被害が甚大になると想定される。深刻化を避けるため、2020年に始まるパリ協定の下で各国は、産業革命前と比べた今世紀末の気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指す。

 チームは、1960~2010年の世界165カ国の気温変化と国内総生産(GDP)の関係などを分析した。すると、1.5度の目標を実現すれば、2度上昇する場合と比べ世界で経済的損害が軽減される可能性が高いことが判明した。アフリカや南米、東南アジアではほぼ確実に軽減が見込まれ、日本でもその公算が大きいという。

 一方、現在の各国の温室効果ガス削減目標を足し合わせても、気温は3度上昇する恐れがあるとみられており、対策強化が課題になっている。