メタンガス発生源、人工衛星で突き止め

オーストラリアにある、メタンガスによる発電機(ブルームバーグ)
オーストラリアにある、メタンガスによる発電機(ブルームバーグ)【拡大】

 50年前、米航空宇宙局(NASA)のある宇宙飛行士は月の上に地球が昇る写真を月の軌道上から撮影し、環境保護運動の活発化に一役買った。

 そして今、宇宙へ観測船を送り込もうとしているのは環境保護主義者らだ。

 米環境保護団体、環境防衛基金(EDF)は4月、世界の主要なメタンガス発生源の観測を行うため、人工衛星を打ち上げると発表した。発生源には、産出量全体の約80%を占める50カ所の油田・ガス田地域に加え、家畜肥育場やごみ処理施設などが含まれる。

 EDFによれば、数千万ドルかかるとみられる同計画の費用は寄付で賄う予定。EDFの気候・エネルギー計画担当副社長、マーク・ブラウンスタイン氏は、実際の打ち上げまでには3年かかるかもしれないと述べた。

 前世紀における地球温暖化の約4分の1はメタンガスが原因だ。二酸化炭素(CO2)は放出量が格段に多いことから気候変動の最大の原因と見なされているが、メタンガスははるかに強力な温室効果ガスだ。

 昨年はメタンに注目が集まった。国際エネルギー機関(IEA)は同10月、現在のメタン放出量(76メガトン)の4分の3は回避可能と試算。全米科学アカデミーは同3月、温室効果ガスの発生源を観測することで取り得る、より良い対策を多数示した200ページを超える報告書を作成した。

 「メタンSAT」と呼ばれるEDFの計画は、米ハーバード大学やスミソニアン宇宙物理観測所の科学者らと共同で進められる予定だ。所有する衛星サービス会社、スカイボックス・イメージングを2014年に米グーグルに売却したことで知られる起業家、トム・インガーソル氏が開発を率いる。

 EDFによれば、メタンガスに関する取り組みは、シェールガス(岩の層に閉じ込められた状態のメタンガス)が米国のエネルギー事情を変えるものとして注目を集めたことで始まった。

 メタン観測用人工衛星としては、既に打ち上げ済みまたは計画中が複数ある。日本の科学者らは02年にメタン観測衛星を打ち上げ、12年まで観測を続けた。欧州宇宙機関(ESA)やカナダの企業も衛星を打ち上げている。

 EDFは、同計画は現在の取り組みよりもさらに幅広い地域により良い解決策をもたらすことが期待でき、ESAとも連携しながら開発を進めていると述べた。(ブルームバーグ Eric Roston)