映画館で、映画祭で…シネマに広がるVRの世界 「体験エンタメ」定着するか (2/4ページ)

 VRについては、ゲーム機のプレイステーション4に接続して楽しむプレイステーションVRや、スマートフォンを挿入して楽しむGear VRが浸透し、対応タイトルも続々と登場。2018年に入ってからは、フェイスブックのOculus Go(オキュラス・ゴー)やレノボのMirage Solo(ミラージュソロ)といった、PCなどとの接続を必要としない、それ1台でVRを体験できるスタンドアローン型VRヘッドセットも登場して、個人での利用が伸びようとしている。映画興行には逆風とも言えそうだが、VAIO執行役員副社長の赤羽良介氏は、「劇場で多人数が同時にVR体験をする魅力」を指摘。映画館の迫力ある音響を生かし、VR映像とともに提供することで、家などでは味わえないVR体験が可能になると訴える。

 「映画館でVR!」では、観客はシートに座った状態でVRヘッドセットを装着するが、ヘッドフォンなどは着用せず、劇場内のスピーカーを使って流されるサウンドを耳から直接聞く。「周囲の気配が聞こえてくる。ホラーなら隣の人の悲鳴、コメディは笑いが聞こえる。音楽ライブVRはみんなで盛り上がれる」とクラフターの古田彰一社長。6月26日の発表会見では、瀬戸内地方を拠点に活動するアイドルユニット、STU48のメンバーがクラフター制作の「夏をやりなおす」というホラーテイストのVR作品を体験した。メンバーの今村美月さんは、「後ろから音が聞こえて自分がその世界にいるよう。誰かが悲鳴をあげたら臨場感が増してさらに怖くなった」と、スピーカーから音を聞く「映画館でVR!」ならではの楽しさを話してくれた。

「夏をやりなおす」を体験中のSTU48。VR空間で少女が眼前に迫ってくる場面で身をすくめる

「夏をやりなおす」を体験中のSTU48。VR空間で少女が眼前に迫ってくる場面で身をすくめる

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