アニメ業界は二極化が加速 市場活況も「現場」はブラック 進まぬ利益還元 (1/4ページ)

 アニメーション業界は「君の名は。」などのアニメ映画が大ヒットし、活況をみせている。制作会社の業績も好調だが、大手の寡占化が進み、二極化が加速化。労働環境の悪化で人材枯渇も懸念される事態に直面している。(東京商工リサーチ特別レポート)

◆市場規模は2兆円を突破

 アニメーション業界は、2016年に「君の名は。」、「聲の形」、「この世界の片隅に」などのアニメ映画が大ヒット。2017年もその勢いを維持し活況をみせている。業界団体の一般社団法人日本動画協会によればアニメ産業の市場規模は2兆円を突破したという。

 東京商工リサーチの企業データベースからアニメーション制作業88社の業績を分析すると、2017年決算は増収増益と好調だった。

「君の名は。」(C)2016「君の名は。」製作委員会

「君の名は。」(C)2016「君の名は。」製作委員会

 ただ、売上高別では上位5社が総売上高の6割を占める寡占化が進み、利益は「増益企業」と「減益企業」が拮抗し二極化が加速していることがわかった。

 アニメーション制作業88社の2017年(2017年1月期-2017年12月期)の売上高合計は1428億7000万円(前年比7.1%増)で2015年から2年連続で増収を維持している。

 当期利益の合計は125億6000万円(同26.2%増)で、全体では増収増益になった。

 増収増益の要因は、アニメーション制作本数の増加が寄与しているとみられる。

上位5社が市場を寡占