東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)傘下のきらぼし銀行は31日、元男性行員(37)が起こした着服事件の被害額がこれまでの約5億7600万円から約6億7900万円に拡大したと発表した。業務フローの見直しや牽制(けんせい)機能強化などの再発防止策を講じるほか、経営責任を明確にするため、渡辺寿信頭取ら、きらぼし銀やFGの役員16人が月額報酬を3カ月間、5~30%返上する。
着服事件の被害者は以前の15人から16人に増えた。このほか法人2社も被害を受けた。被害金額は、きらぼし銀が弁済する。
元行員は2015年8月から18年6月に偽造の証書を交付し、定期預金の契約を装う手口で着服した。事件が発覚した7月に懲戒解雇処分となったが、現在も失踪中。きらぼし銀は警察と相談の上、告発か告訴のどちらかで対応する準備を進めている。
この日会見した渡辺氏は謝罪し「全役職員の強い決意の下、再発防止に取り組み、一日も早く信頼を回復したい」と述べた。再発防止に向け、営業が現金を持ち出す際に役職員が顧客の意思を確認することを義務付けたり、一定以上の預け入れのある顧客には残高照会状を送付したりする。