家康の駿府城跡から“因縁”秀吉の天守台が出土、金箔瓦約330点も

 将軍を退き大御所となった徳川家康が晩年を過ごしたことで知られる駿府城(静岡市葵区)の跡地から豊臣秀吉が築かせたとみられる天守台が新たに発掘された。16日の定例会見で田辺信宏市長が発表した。

 市が平成28年度から駿府城跡で実施している発掘調査で発見された。今年5月から開始した調査の過程で、これまでに発見されていた天守台とは異なる自然石を積み上げた野面積みと呼ばれる方式で作られた石垣が出土。周辺からは豊臣政権の特長を備えた金箔(きんぱく)瓦約330点が発見された。

駿府城跡から出土した金箔瓦=16日、静岡市葵区の駿府城公園(石原颯撮影)

駿府城跡から出土した金箔瓦=16日、静岡市葵区の駿府城公園(石原颯撮影)

 新たに発見された天守台は専門家の調査の結果、天正18(1590)年の秀吉による小田原攻めの後、江戸に移った家康に代わって、駿府に入城した中村一氏が秀吉の支援を受けて築城したものと認められた。これまで、太閤軍記や家忠日記の文面に一氏が駿府に入場したという記録はあったが、どこに城を構えていたかなど実態は分かっていなかった。

 調査に関わった静岡大の小和田哲男名誉教授は「大御所家康の駿府城の下に豊臣政権下の中村一氏の駿府城があったことが分かったのは大発見だ。さらに下には天正13年着工の家康による5カ国時代の駿府城が埋まっている可能性がある」と期待を膨らませている。

 市は、20、21日の午前9時~午後4時に臨時公開することを決めた。参加は無料で事前登録も不要。調査員ガイドも付く。