なぜ不祥事で現場は出てこないのか 「自分事化」で企業の謝罪会見が変わる? (1/4ページ)

検査データに不適切な書き換えがあったとして開いた記者会見で頭を下げる、油圧機器大手「KYB」の中島康輔社長(右)=16日午後、東京・霞が関の国交省(松本健吾撮影)
検査データに不適切な書き換えがあったとして開いた記者会見で頭を下げる、油圧機器大手「KYB」の中島康輔社長(右)=16日午後、東京・霞が関の国交省(松本健吾撮影)【拡大】

 【ニッポンの謝罪道】油圧機器メーカーのKYBによる、免震・制振用装置の性能検査データ改ざん問題では、中島康輔会長兼社長を含む幹部が記者会見に登場し、頭を下げ、謝罪の言葉を述べた。19日には施設名公表に伴う会見で、幹部社員が登場した。この時の状況については以下のように記述されている。

 《2時間の質疑に答えたが、影響が大きい病院やマンション、五輪施設、原発関連施設などはこの日は未公表で、幹部は「作業が手いっぱい」と言い訳に終始した。資料がなく改竄の有無が不明な建物も多く「恥ずかしながら申し訳ない」とも繰り返した》(SankeiBiz)

 白髪頭、いずれも高齢者による一斉お辞儀という謝罪会見の“様式美”が集約されたような会見だったが、「言い訳に終始した」という厳しい書かれ方はしているものの、潔く認めた点については、これからの対策ができるという面において一定の評価を与えても良いのではなかろうか。

◆当事者が出てくればより深い問題が分かる

 さて、こうした謝罪会見だが、「実際に改ざんをした人間」「改ざんの伝統を作った元社員」などはめったに登場しない。「責任は上司にある」というのは分かるものの、結局やらかしたのは現場であることが企業不祥事においては往々にして存在するのだ。

もしも現場の人間が会見したら