【生かせ!知財ビジネス】世界初の特許検索五輪、日本技術貿易の永吉氏が銀賞

2018.9.24 05:52

 世界初の特許検索オリンピック「パテントオリンピアード」が9~10日、イタリア・ミラノで開かれ、知財マネジメントサービス国内大手、日本技術貿易(NGB、東京都港区)のIP総研に所属し、国内特許検索競技大会でも活躍する永吉拓也氏(33)が銀賞を獲得した。主催は欧州系特許情報利用者団体の欧州特許情報ユーザグループ連合(CEPIUG)で、設立10周年記念コンファレンスの一環として企画された。

 金賞は、スウェーデンの特許調査コンサルティング会社、Uppdragshusetの特許調査担当で元同国特許庁審査官のフレドリック・マグナソン氏、銅賞はドイツの新進知財支援会社、ロードリサーチでディレクターを務めるアンナ・ヴィツォレク博士だった。欧州各国の他にインド、日本を加えた10カ国から特許検索・調査実務者22人が参加、腕を競った。

 全て英語で第1問は「紙おむつに関する特許権の無効化に必要な文献を探し7つ挙げる」、第2問は「帆が付いた自転車に関する特許を調査する際の効率的な検索式をキーワードや技術分類を使って作る」、第3問は「特許・調査等の知識に関する択一式(10問)」で配点は各10点。試験は4時間。検索ツール持込みは自由で、インドのある参加者は自前の人工知能(AI)を使った。

 特許検索・調査実務で約10年の経験がある永吉氏は「問題は非常に難しいとは感じなかったが、英語の設問のニュアンスには迷う部分はあった。各国参加者と同じ基準で審査されて入賞できたことは、日本の特許検索・調査のやり方が国際的に通用することを証明できたと感じた。機会があればまた参加したい」と話した。

 実は特許検索の国際大会は日本が早い。2015年、工業所有権協力センター主催の特許検索競技大会で日米欧台韓から10人が参加し、英語の特許検索問題を解く特別イベントがあった。このときの米国代表でパテントオリンピアードの発起人の一人がアンドレア・デービス氏であり、ヒントにしたのではと見る向きもある。

 特許検索・調査は科学技術と知財や法律に関する知識、情報解析力、語学力など総合的能力が求められる。その能力育成、維持に関して永吉氏は「日々、実際の案件に接して試行錯誤することではないか」と指摘した。(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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