女性に多い「変形性股関節症」 痛み感じたら早めの受診を

 

 年を取ると、腰や骨盤に痛みを感じて日常生活が困難になることがある。そうした場合は、加齢により関節の軟骨がすり減って起こる「変形性股関節症」になっている可能性がある。初期ならば、生活習慣の改善やストレッチなどで進行を遅らせたり、症状を改善したりすることができる。痛みを感じたら、できるだけ早く受診することが重要だ。(油原聡子)

 女性に多い

 股関節は体の中心で骨盤と下肢をつなぐ人体で最大の力がかかる関節だ。東京都済生会中央病院整形外科の柳本繁部長は「股関節はバランスよく歩くための要の関節」と、その重要性を説明する。

 股関節に痛みを生じる疾患はいろいろあるが、最も多いのが変形性股関節症だ。女性に多く、加齢とともに増加。患者数は100万人以上と推定される。

 柳本部長によると、関節のクッションとなる軟骨がすり減ると、骨と骨が直接ぶつかり、スムーズな動きが妨げられる。すり減る過程で出る軟骨のかけらが関節内に散り、滑膜が炎症を起こすことなどにより痛みが生じる。

 初期には、立ち上がるときや歩き始めのときに骨盤周辺に痛みが出る。「初期に痛みが出たときには、腰と股関節のどちらが痛みの原因なのか分からない患者さんも多い」と柳本部長。痛みが出たら早めに整形外科を受診し、原因をはっきりさせた上で、対策を考えた方がよい。

 生活習慣改善を

 初期なら、生活習慣の改善などで進行を遅らせることができる。日常生活では股関節に負担のかかる動作を避けることが重要だ。柳本部長は「症状が進んでも気にせずに、肥満を放置したり、生活習慣の改善を行わなかったりすると、悪化のスピードが速くなる。まずは痛みの原因となる要素を減らして」とアドバイスする。

 痛みによる股関節周辺の筋肉のこわばりはストレッチで改善できる。また、関節を支え、保護する役割を持つ筋肉を鍛えるのは有効だ。長期的に股関節の負担を減らすことにつながるからだ。「お勧めは水中トレーニング。浮力により股関節への体重の負担が減った状態でできる。水への抵抗運動で高いトレーニング効果が得られる」

 外科手術も進歩

 症状が進行すると、痛みが強くなり、歩行困難になることもある。薬物療法は痛みを軽減できるが、一時的な効果で、根本的な治療ではないという。

 症状が重い場合には、チタンなどでできた人工股関節を入れる手術も選択肢の一つだ。リハビリも含め入院は約1カ月。「ほとんど痛みがなくなる。麻酔など医療技術の進歩により、元気な人なら手術の年齢制限はなくなりつつある」と柳本部長。人工股関節の人工軟骨部分の性能も向上した。以前は15~20年程度で入れ替え手術が必要になったが、今は30~40年の耐用年数があるとされている。

 人工股関節手術を受け、痛みから解放された人は多い。

 埼玉県桶川市の主婦、八里きん子さん(60)は、大腿骨(だいたいこつ)の一部が壊死(えし)して変形し、長年、股関節の痛みに悩まされてきた。症状が悪化して昨年8月に、人工股関節手術を受けた。以前は1歩踏み出すたびにずきずきと痛んだが、今はスムーズに歩けるようになった。「手術を受けて日常生活には困らなくなりました」と八里さん。

 股関節が痛いと外出が嫌になり、引きこもりがちになる。柳本部長は「初期に診断できれば、進行を遅らせることができる。筋力トレーニングや手術などで自分の体をメンテナンスしながら、自分で歩き、長く健康な生活を送ってほしい」と話している。