はしかワクチン不足、予防接種が難しくなる恐れも

 
関西国際空港では従業員へのはしかの予防接種が始まった=8日午後(前川純一郎撮影)

 関西国際空港などを中心に感染が拡大しているはしか(麻疹)を予防するワクチンが供給不足に陥っていることが8日、複数の医療機関への取材で分かった。はしかには特効薬がないためワクチンで予防するしかないが、このままだと接種が難しくなる恐れがある。

 関係者によると、不足しているのははしかの予防接種として一般的に使われているMR(麻疹風疹混合)ワクチンと、蚊が媒介する感染症「日本脳炎」を予防する日本脳炎ワクチン。すでに一部の医療機関では在庫不足のため接種が止まったり、接種時期の調整を迫られたりしている。

 宇都宮市の小児科クリニックでは今月に入り、MRワクチンの供給が停止。クリニックの在庫をやりくりするが、「新規の予約を受けるのは難しい状態だ」という。都内の小児科医も「いきなり手に入らなくなって驚いている。はしかが流行してきているので未接種の乳児への接種は優先したいが、このままだと時期が後倒しになるかもしれない」と危機感を募らせる。

 関係者によると、MRワクチンは生産する国内3社のうち1社の製造が止まっており、今年8月ごろから品薄状態に。平成24年から風疹が流行したことを受けて成人のMRワクチン接種に補助を出す自治体が増加したことに加え、今夏のはしか感染拡大で成人の需要も増し、追い打ちをかけたとみられる。

 一方、日本脳炎ワクチンは、乳児が相次いで日本脳炎に感染したことを受け、接種時期を従来の3歳から前倒しする自治体や医療機関が増加。供給が追いつかない状態となっている。

 厚生労働省予防接種室は「現状を注意深くみていく」としている。

【用語解説】MRワクチン

 はしかと風疹を予防するワクチンで、2つの病名の頭文字を取りMRワクチンと呼ばれる。無料で受けられる定期接種の対象は1歳と小学校入学前。かつては1回接種だったが、時間がたつと抗体が低下することが分かってきたため、現在は2回接種となった。国内では阪大微生物病研究会、武田薬品、北里第一三共の3社のワクチンがあるが、北里第一三共は現在、出荷していない。