タイエリ峡谷鉄道(5)クラフトビールのラインナップに“呑み鉄”も大満足! ほろ酔いで楽しむ機関車の付け替え作業

江藤詩文の世界鉄道旅
サンドイッチやキッシュ、チョコレートブラウニーなどを詰め合わせたニュージーランドスタイルの駅弁

 自他ともに認める酒呑みの食いしんぼうである私にとって、外国の鉄道で何より楽しみなのが、まだ明るいうちに車窓を眺めながら、地元のつまみをあてに、冷えたビールやワインを開けること。振り返ってみると、オーストラリアのガン鉄道やインドのマハラジャ・エクスプレスといった豪華寝台車つきのクルーズトレインを別にしても、台湾のローカル線で味わったアツアツのおかずのせ駅弁と冷えたビール、タイ鉄道でわらわらと乗ってくる売り子から買ったスパイシーなB級グルメとバケツに浮かんだ缶ビール(現在は車内へのアルコール持ち込みは禁止されてしまった)、オーストリア鉄道の食堂車で“朝シャン”としゃれこんだスパークリングワインとスモークサーモンなど、思い出すだけでよだれが出そうな“列車ごはん”は枚挙にいとまがない。

 で、タイエリ峡谷鉄道だ。この日の編成は重連の機関車2台、ジェネレーター車、パノラマ車両が2両、ブッフェカー、ヘリテージ車両。12時30分の出発時刻は車内でランチを楽しむのにぴったりと、事前予約が可能な「プレオーダーランチ」17.50ニュージーランドドル=約1400円を注文しておいた。

 受け取りに行ったブッフェカーのショーケースを見て思わずニンマリ。さすが国中でビールとワインを生産しているニュージーランド。メニュー表のおよそ3分の1をアルコールが占めているのだ。

 こう言ってはなんだが、フードはパイやサンドイッチ、スナック、アイスクリーム(ある調査ではニュージーランド人は世界でもっともアイスクリームを食べるという結果もある)といった、ニュージーランドらしさを感じるとはいえごく一般的なラインナップ。それに対してアルコールはといえば、出発地ダニーデンに居を構えるふたつのローカルビールをはじめ、ワインにスパークリングワイン、カクテル、ウィスキーまで笑ってしまうほどの品揃え。ビールや白ワインは好ましい温度にきちんと冷やされているのもいい。

 ときどき写真を撮りながら、車窓の絶景を楽しみビールを飲んでいるとあっという間にプケランギ駅に到着。ここには機回し線があり、機関車の付け替え作業が行なわれる。他の乗客が身体を伸ばし眺望を楽しむなか、5歳の少年が機関士の作業に釘付けになっていた。

■取材協力:ニュージーランド航空ニュージーランド政府観光局

■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら

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