『マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて』『9プリンシプルズ 加速する未来で勝ち残るために』『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』

ビジネスパーソンの必読書
『マストドン次世代ソーシャルメディアのすべて』小林啓倫、コグレマサト、いしたにまさき、まつもとあつし、堀正岳著(マイナビ新書・850円+税)

 陸上の世界選手権でウサイン・ボルト選手のラストランは、まさかの途中棄権。本人が一番悔しいはずだが、そんな気持ちをみじんも感じさせない会見での態度が印象的だった。そうした常に前向きでいる姿勢が、輝かしい実績につながったのだろう。

 ■SNSの集合体 『マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて』小林啓倫、コグレマサト、いしたにまさき、まつもとあつし、堀正岳著(マイナビ新書・850円+税)

 マストドンをご存じだろうか。突如として注目されはじめたSNSだ。2016年10月に開始され、日本では4月から1カ月で登録者が30万人を超えたという。本書は、マストドンの使い方だけでなく、その根底にある思想まで掘り下げて解説している。

 ツイッターと似た短文投稿型サービスだが、最大の特徴は「分散型」。企業などが提供する単一のシステムを使う従来のSNSとは異なる。個人や組織がそれぞれ立ち上げて運営する「インスタンス」と呼ばれるミニSNSの集合体なのだ。ユーザーは各インスタンスに登録するが、フォローなどはインスタンスを越えてできる。

 やや閉鎖的なコミュニティー同士がゆるくつながることでオープンなコミュニティーを形成できるのがマストドンの魅力であり強みだ。多様性を育む自由なあり方は限りない可能性を示している。

 ■変化の原則とは 『9プリンシプルズ 加速する未来で勝ち残るために』伊藤穰一、ジェフ・ハウ著、山形浩生訳(早川書房・1800円+税)

 変化のスピードが増す現代社会。速さに振り回されないために、私たちは何をすればいいのか。新しい技術やサービス、それらを使う人々の行動に共通する「原則」を探るといいかもしれない。

 マサチューセッツ工科大学メディアラボの伊藤穰一所長が共著者の本書。未来に向けた変化の本質を理解するために「権威より創発」「プッシュよりプル」「地図よりコンパス」といった9つの原則を提示している。

 「プッシュよりプル」は、資源や情報をメディアを含む権力が独占し、それらを恣意(しい)的に人々に押し付ける(プッシュ)のではなく、人々が必要に応じて引き出す(プル)ことを意味する。「地図よりコンパス」は、非定型に変化する現代社会では地図は役立たず、コンパスとなる嗅覚が重要ということ。

 現代の混沌(こんとん)や混乱は、これら9原則と旧来のシステムの齟齬(そご)が原因なのだろう。

 ■商品を「雇用」する 『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』クレイトン・M・クリステンセン他著、依田光江訳(ハーパーコリンズ・ジャパン・2000円+税)

 どうすれば効果的なイノベーション(革新)を起こせるか。そのヒントを明快に示すのが本書。主著者は、20年前に「破壊的イノベーション」の概念を提示した『イノベーションのジレンマ』の著者である。

 著者が唱える「ジョブ理論」では、商品やサービスは、何らかの「ジョブ(仕事)」を片付けるために「雇用」されるものと捉えられる。消費者は、自らが抱えるジョブを片付けるために商品やサービスを雇うのだ。

 たとえば仕事中の喫煙が、リラックスすることや誰かとの雑談というジョブのためだとすれば、たばこの代わりにSNSを「雇用」してもいいかもしれない。「なぜ喫煙するか」の本質を探ることで、異なる領域からの発想が得られる。

 商品やサービスで、本当に必要とされる機能や要素は何か。ジョブを出発点に考えてみればいい。

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