埼玉・長瀞のロウバイ 独自の香水に 東京のメーカー社長、原田さん「普段使いできる商品を」

 

 埼玉県長瀞町の宝登山に咲くロウバイの花の香りの香水をつくった香水メーカーがある。四季の花の香りや和を連想させる独自ブランドの香水を製造し、インターネットで販売する「武蔵野ワークス」(東京都)。同社の原田知子社長(54)は「気負ったおしゃれの一環ではなく、普段使いできる商品を提供したい」と香水への思いを語る。

 欧米に比べると、日本ではなじみが薄い香水。国内製は少なく、大半が海外製だ。「湿気が多い日本の気候に合っていないと匂いが立ち上り、きつく感じてしまう」と原田さん。電車内などで周囲を気遣いながら、日頃から気軽に使える優しい香りを作るよう心掛けているという。

 フィールドワークは欠かせず、ロウバイの花の香りを求めて長瀞町の宝登山に足を運んだ。自社で調香した香水と実際の花の香りを比べ、より本物に近い香りにしていく作業に2、3年を費やした。

 珍しいロウバイの香水は透明のスプレー瓶(25ミリリットル)に詰められ、3600円(税込み)で販売している。ロウバイ好きの人がネットで探し当て、固定客になっているという。

 原田さんは、本物に近い香り、空の色といった周辺のイメージを大切にする。「東北でローカル線の駅に降り立った際には、土手からふわっと甘い香りがした。ここから商品『葛の花』ができた」。

 もとになる香料は300種類ほどで、組み合わせや割合を丁寧に探る。販売するのは約50種類で、顧客からは「花が寄り添ってくれているよう」と好評だ。

 さまざまな匂いに敏感で、一生取り組めることとして香水づくりを学べる学校に入った原田さん。ネットが普及し始めた平成8年、1人で商品の販売を始めた。当初、注文が入らない日々が続いたが、数日間商品を身につけて香りを試せるミニボトルを販売すると、顧客が増えていった。

 「使い慣れていない人こそ、自分が楽しめる好みの一品を選んでほしい」。原田さんは人々を香水の世界に誘い続ける。

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