現代の不倫は「ミッション:インポッシブル」 カーナビや社内共有ソフト…浮気バレの思わぬ盲点

 
(Getty Images)

【常見陽平のビバ!中年】

 私はトム・クルーズが大好きな人材である。自分はトム・クルーズの生まれ変わりだと思って生きることにしている。なんせ大好きなのは「ミッション:インポッシブル」シリーズだ。「スパイ大作戦」の現代版とも言える作品である。

 1996年に最初の作品を見たときの衝撃が忘れられない。当時はインターネットが日本で一般にも広まりつつある時期だった。アップルのPowerBook(懐かしい)の当時の最新モデルでネットにつないでやり取りする未来感。他にも変装グッズ、爆破グッズなど未来感あふれるものが満載で実に痛快だった。その後の作品ではiPhoneが大活躍したりと、これまたたまらない。

 2017年である。「ミッション:インポッシブル」同様とはさすがにいかないが、ITは手の届くところにあり、未来感のある日々を送っている。個人的には、iPhoneやiPad Proを使い、AirPodsで音楽を聴き、車でiPhoneからBluetoothで音楽を飛ばし、ハンズフリー通話するのはもうお腹いっぱいくらいの未来感なのだが。

スマホのBluetoothでバレる不倫

 いきなりゲスい話に飛ぶが、テクノロジーを駆使すれば週刊誌的な不倫のようなことは簡単にできるのではないかと思ってしまう人もいることだろう。実は世の中、そんなに甘くない。ITは逆にこの手のゲスいことをどんどん明らかにしてしまう。ITで不倫や社内恋愛がバレてしまう時代になっている。

 これらのことがバレる温床は、やはりスマートフォンだ。このあらゆる機能は不倫がバレることにつながる。例えば、Bluetoothだ。前述したように、私はここ数年ずっと、車のカーナビとiPhoneをBluetoothでつないで、音楽を聴いたり、ハンズフリー通話をしている。昨年、車を買い替えたとき、納車の際にカーナビなどの説明を受けていた。ディーラーの営業担当者がこう言った。

 「お客さん、本当にBluetoothを設定しますか」

 私はもともと利用していたので、もちろん設定してほしいと頼んだ。すると、彼はこう言った。

 「Bluetoothって不倫がバレるんですよ。私のお客さん、これで6人バレてます」

 なんてこった。私は別にそういうことはしない人なので、設定してくださいとお願いしたのだが。

 ただ、たしかにBluetoothで夫婦の関係が冷え切ってしまった人というのは周りにいる。要するに夫婦でドライブしている時に他の女性から電話があり、バレてしまうというパターンだ。最近のカーナビはご丁寧に、登録している名前までバッチリ表示されるわけだ。「この、鈴木って人、誰よ」という話になるわけだ。

 他にもBluetooth×カーナビでバレるパターンは存在する。機種にもよるのだろうが、カーナビとスマートフォンで通話履歴の同期にラグがあるのだそうだ。やばい通話を消したつもりでも、カーナビの方には履歴が残っていたというわけだ。

 もっとも、このカーナビ×スマホという組み合わせの他にも、スマホは十分“地雷原”だ。例えば、予測変換である。「あ」と入れた瞬間「明美」という女性の名前が表示されたとしよう。隣に家族がいたら、あっという間に疑われてしまう。あるいは、何かエロ系のワードが出てきても問題だ。「ら」と入れた瞬間、「ラブホ」などと出ると、家庭は修羅場になること間違いないだろう。

 LINEの履歴などもそうだ。たまたま覗いてしまい、その履歴が見えてしまうことになる。スマホのアルバムだって、カメラロールに残っていた密会写真が妻の目に入ろうものなら一巻の終わりだ。

社内恋愛は「スケジュール共有」でバレる

 不倫だけでなく、職場の中での内緒の恋愛などもテクノロジーでバレてしまう時代だ。例えば、グループウェアだ。組織内でスケジュール管理やタスク共有、チャットができるグループウェアは、今やチームワークのためにマストアイテム。これが、社内恋愛ホイホイなのだ。気になる人が、それぞれどこにいるかなどをチェックしよう。同じタイミングで出張しているかどうかなんかもチェックできる。

 一緒にいる際に、電話への着信が画面に大写しになることがある。そこで、なぜか同僚の名前が「鈴木亮平」というような本名ではなく「亮ちゃん」「亮平」などと登録されていたら「こいつ、付き合っているな」という話になる。

 なお、以前の同僚には社内恋愛見破り職人のような人がいた。例えば臭いフェチだ。会議室にいる人の臭いで誰と誰が関係を持っているか見破る職人がいた。臭いまでいかなくても、視線、ちょっとした言葉遣いでバレてしまうものである。

 社内恋愛や友好関係など、人間曼荼羅を深夜残業してパワーポイントでまとめていた先輩もいた。聞く限りの社内恋愛模様と、その周りにいる人をドキュメントにまとめていたのだ。

 別にここまでやらなくても、見破れてしまうことがある。たとえば、ある沿線に住む人が多い会社、独身寮がある会社などは沿線や、その寮を洗えば、もはや社内恋愛ホイホイである。

 かなりゲスい話になったが、これは本質をついている。テクノロジーは軍事か、人間の欲望に利用されて発展するのだ。「ミッション:インポッシブル」は主人公たちも敵もテクノロジーを駆使して闘った。君はこれを活用して恋愛するのか、人の恋愛を見破るのか。覚悟を決めよう。「社内SPA!男」「社内文春女」を目指すのも悪くない。

【プロフィル】常見陽平(つねみ・ようへい)

千葉商科大学国際教養学部専任講師
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【常見陽平のビバ!中年】は働き方評論家の常見陽平さんが「中年男性の働き方」をテーマに執筆した連載コラムです。更新は隔週月曜日。

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