製造業、国内への回帰広がる キヤノン、宮崎に新工場 パイオニアも移管

 
新工場立地のための協定書に調印し、あいさつするキヤノンの御手洗冨士夫会長(左)=8日午後、宮崎県庁

 製造業が海外から国内に生産を戻す動きが広がっている。キヤノンは11日までに、宮崎県高鍋町にデジタルカメラの新工場を建設すると発表した。円安とアジア諸国の人件費上昇を背景に、数年前からパイオニアやダイキン工業などでも国内回帰の動きが相次いでいる。

 キヤノンは新工場を大学キャンパスの跡地に造り、子会社の宮崎キヤノンが運営する。投資額は約230億円。操業開始は2019年8月で、初年度に数十人の新規雇用を予定しているという。国内生産比率を約6割まで高める目標を15年に掲げており、宮崎の新工場は既存の大分、長崎と並ぶ主要拠点となる。

 日本の製造業は12年ごろから国内回帰の動きが出始め、15年ごろから本格化した。パイオニアは日本市場向けのカーナビ製造の一部をタイから青森県十和田市の工場に移管し、ダイキン工業は中国企業に委託していた家庭用エアコン生産の一部を滋賀県草津市の工場に切り替えた。JVCケンウッドも高級ホームオーディオの生産をマレーシアから山形県鶴岡市の工場に移している。経済産業省の調査によると16年には海外生産を行っている製造業の11.8%が国内に生産を戻した。移管元は中国・香港が66%を占め、人件費の高騰が後押ししているという。

 ただ、日本市場の伸びが期待できない中で国内回帰の動きは一時的との声もある。みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは「中国に進出しすぎた反動で一部が戻ってきているが、日本に生産を移す積極的な理由はない。国内回帰が今後も続く可能性は低いだろう」と指摘している。

Read more