『超高齢社会2・0 クラウド時代の働き方革命』『国連で学んだ修羅場のリーダーシップ』『OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び』

ビジネスパーソンの必読書
『超高齢社会2・0クラウド時代の働き方革命』檜山敦著(平凡社新書・780円+税)

 「大人になるということは、あいまいさを受け入れる能力を持つということ」という精神医学者フロイトの名言がある。私たちはともすると賛成と反対の二者択一で物事を考えがち。懐が深い大人の議論を意識して試みたいものだ。

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 ■モザイク型就労へ 『超高齢社会2・0 クラウド時代の働き方革命』檜山敦著(平凡社新書・780円+税)

 超高齢社会に突入したことをほとんどの人が認識しているはず。多数の高齢者を支えねばならない未来に不安を覚える人は少なくないだろう。本書ではICT(情報通信技術)を活用してその不安を解消する方法を探っている。

 複合現実感などを研究する著者は、ふと2065年の人口予測ピラミッドをひっくり返してみた。すると高齢者が多く若い世代が少ない逆三角形のグラフが、普通の三角形に。そこで著者は「高齢者が若者を支える未来」というコンセプトをひらめく。

 著者らが開発中の「モザイク型就労」というシステムは画期的だ。1人が働ける断片的な時間を複数人数分組み合わせて1人のフルタイム労働者に相当する仕事量をこなす。その組み合わせをICTで管理するのだ。

 正規・非正規雇用の線引きも無意味にするモザイク型就労は、高齢者のみならず日本人の働き方を根本からシフトさせる可能性を秘めている。

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 ■決断の根拠は「勘」 『国連で学んだ修羅場のリーダーシップ』忍足謙朗著(文芸春秋・1500円+税)

 ボスニア、コソボ、スーダン、カンボジア、北朝鮮など数々の不安定な地域の現場に立ち合ってきた。戦火の中、あるいは災害直後といった「修羅場」で、困窮する一般市民への食糧支援の指揮をとり続けた国連WFP(世界食糧計画)元アジア地域局長の忍足謙朗氏が、自らその経験をつづったのが本書だ。

 予測できない問題が次々と降りかかる緊急支援の現場で「決断」の根拠となるのは「勘」だという。ただし経験によって鍛えられた勘だ。修羅場ではじっくり考えたり、人の意見を聞いたりする時間的余裕はない。しかも、決断を間違うよりも、決断が遅れることの方が悲惨な結果を招くことが多いのだそうだ。

 平時なら許されないような行動や指示を自らの責任のもとに行うこともある。普段から、そうしたことも許容される人間性や信頼を培っておくのも、修羅場で多国籍のメンバーを束ねるグローバルリーダーの条件なのだ。

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 ■立ち直るために 『OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び』シェリル・サンドバーグ、アダム・グラント著、櫻井祐子訳(日本経済新聞出版社・1600円+税)

 誰にでも「喪失」の経験はあるはずだ。本書の主著者で米フェイスブックのCOO(最高執行責任者)を務めるシェリル・サンドバーグ氏を襲ったのも、おそらく人生最大級の喪失だった。夫婦で旅行中に、最愛の夫が前触れもなく病死したのだ。

 絶望した彼女が、友人の心理学者アダム・グラント氏らの助けを借りながら再び立ち上がるまでの葛藤を描いている。テーマはレジリエンス(復元力、折れない心)。いかに喪失を受け入れ、心の傷を自らどう癒やしていくか、周囲の人はどのように関わればいいか、自らの経験と過去の研究成果を元に考察する。立ち直ろうとしている人に「調子はどう?」はNG。「きょうの調子はどう?」と声をかけるのがいいそうだ。

 人の心の機微を知ることができる。多くの人に読んでほしい一冊だ。