多くの社員を味方につける「最強の話し方」 カギを握る「6割の壁」とは…

 
※画像はイメージです(Getty Images)

【藤田尚弓の最強の話し方】

 相手から思ったような反応が得られない。重要さがうまく理解してもらえない。皆さんも、そんな経験はありませんか? この連載ではコミュニケーション研究家でアップウェブ代表取締役の藤田尚弓が、ビジネスシーンを上手く切り抜ける「最強の話し方」をご紹介していきます。

 第2回は、周囲を巻き込むことができず協力が得られないというケース。手伝おうという気持ちがあるときでも、私たちは協力が必要な人に手を差し伸べないことがあります。なぜそういう行動をとってしまうのか。そのメカニズムを解説し、周囲が思わず協力したくなる「最強の話し方」をご紹介します。多くの人を味方につけるには、「6割」を意識することがカギを握るんです…。

わかっているのに行動しないケース

 あなたが職場の環境整備推進リーダーになったとします。デスクの整理整頓はもちろん、今月は、会議室、応接室の美化を行うことを周知徹底しました。

ところが机の整理をする人はわずか。以前と変わらず書類を積んでいる人たちが多数です。勤務時間中に行う、会議室と応接室の掃除ボランティアには数人しか集まりませんでした。

 職場は綺麗にしておいたほうがいいことも、デスクを整理しておいたほうがいいことも、あなたがボランティアを募っていることも多くの人が理解しています。「協力してもよい」という思ってくれている人もいます。それなのにどうして、多くの人が協力せずに静観しているのでしょうか。

協力する気持ちがあるのに行動しない3つの理由とは

 協力してもいいと考えている人も、下記のような場合には協力行動をとらずに静観しがちです。

 1.緊急性を感じない

 整理整頓の強化月間だけれど、周りを見るとデスクを片付けている人はまだ少数派……。このように、周囲が積極的でない行動をしているのを見ると私たちはこう考えがちです。「どうやら今スグやる必要はないようだ」

 2.批判される恐れ

 掃除ボランティアとはいえ、勤務時間中に席を立つことで批判されるのでは? デスクの片付けを冷ややかな目で見る人はいないだろうか。行動をしたときの周囲からの評価が不安な場合、私たちはこう考えがちです。「周りの動向を見てからにしよう」

 3.誰かがやるだろうという気持ち

 温かい職場で周囲に手伝ってくれそうな人はたくさんいる。そんな理想的な職場ならではの落とし穴もあります。手伝いそうな人がたくさんいる場合、こんな考えが浮かびやすいので。「きっと他に手伝う人がいるだろう」

行動を促す3つのキラーフレーズ

 周りを巻き込みたいときには、先ほど紹介した、協力をためらわせないようなフレーズを使うことがポイントです。協力依頼をするときには、下記の3点を盛り込みましょう。

 1.緊急性があることを伝える

 急ぐ必要がないと思われてしまうと、先延ばしをされがちです。日常の業務に追われるうちに忘れられるといったことに。それには、期日を明確にする、緊急性を交えて依頼するといった工夫をしましょう。

 例)

 「○日までに、環境整備を終える必要があるんです」

 「お忙しいとは思うのですが、急を要していまして」

 2.安心して行動できるようにする

 周囲から賛同を得られている、上司からも推奨されているといった状況を伝えておきましょう。

 例)

 「課の皆さんからも快諾いただいています」

 「部長からもぜひ推進してほしいと言われています」

 3.誰に何をしてほしいかを明確にする

 「誰か手伝ってくれませんか?」という働きかけではなく、名指しをして自分が頼まれているのだとわかってもらえる言い方が必要です。このとき、行動してほしいことを具体的に言っておくことで、頼まれた側が、引き受けられるか判断しやすくなります。

 例)

 「○○さん、30分でいいので明日会議室の掃除ボランティアをお願いできますか」

 「デスクの整頓運動を、○○さんのお力をお借りして広めていきたいんです」

 周りを巻き込むのが上手い人は、まず個別の声掛けで何人かに動いてもらい、それを見た周りの人たちが行動しやすくなるような雰囲気を作っているのです。

6割の人を巻き込むことで全体を動かせる

 周りの人が拍手をしているので、自分も拍手をする。周りの人が立ったので、自分も立った。皆さんもそんな経験をしたことがあると思います。

 私たちは、自分の周りの人たちの行動に影響を受けます。「自分もやろう」と行動する人があきらかに増えるのは、すでに行動している人が全体の6割を超えたあたりから。逆に、行動している人が3割以下の場合、静観する人が増えます。

 個別の声掛けでキーパーソン、ムードメーカーに動いてもらい、そこから6割の人が動いてくれるよう具体的な依頼を続ける。これが周りを巻き込む、最強の話し方なのです。

藤田尚弓(ふじた なおみ)

コミュニケーション研究家
早稲田大学オープンカレッジ講師 株式会社アップウェブ代表取締役
企業のマニュアルやトレーニングプログラムの開発、テレビでの解説、コラム執筆など、コミュニケーション研究をベースにし幅広く活動。著書は「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」(ダイヤモンド社)他多数。

 【藤田尚弓の最強の話し方】はコミュニケーション研究家の藤田尚弓さんがビジネスシーンで活用できる会話術を紹介する連載コラムです。更新は月初木曜日。

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