2009.11.13 07:00
■「歌手生命」絶たれる不安 前より感じる「詞の意味」
今年7月、会見で「顔面神経良性腫瘍(しゅよう)」のため、右耳が聞こえなくなったことを明かした歌手の山本譲二さん(59)。いつ起きるともしれない顔面麻痺(まひ)。歌手生命はどうなるのか。そんなときに知ったのが人の情けの深さ。不安と闘いながらも、「詞の意味を本当に感じられる」と歌い続ける。(文 寺田理恵)
病気に気付いたのは5月でした。かかりつけの先生に血圧の薬をいただいて、そこから出た瞬間ですよ。あれっ、何でこっちの耳は車の音が聞こえないんだろう。水でも入ったのかな。2、3日で治るだろうと思いました。
しばらくして病院に行くと中耳炎という診断で、水を取ったんですが、1週間後も聞こえない。CTを撮ったら、「耳に腫瘍が2つできています」。詳しく調べるためにMRIを撮って持っていくと、「良性です」と。治療法はあるが、顔面神経を切る。顔面麻痺が起こるから、お勧めできないということでした。
珍しい病気で、普通は麻痺が起きて分かるものだそうです。起こる前に見つかったのだから、予防なり治療法なりあるでしょうと聞きたくなるじゃないですか。頭にきて、「右の耳は捨てた。左の耳と生きていく」とブログに出したら、同じような思いをされている方たちから何百件もコメントをいただいた。
「いつも前向きじゃないですか」「負けないでください」。見ているうちに、人の情けって海より深いなと、ウルッとしちゃって。興行師さんをだまして仕事をもらいたくないと思ったんです。仕事は減るだろうけれど、会見させてもらいました。
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朝起きて秋晴れだったら、心も日本晴れ。そんな日は一度もないですよ。「病気と仲良く生きていく」と言いますが、冗談じゃない。歌い手にとっては致命傷です。できるなら元に戻してもらいたい。この気持ちは、病気になってみないと分からなかった。