【ゆうゆうLife】読者から 私もあやかりたい

2009.11.6 07:00

 静岡市 主婦(60)

 近所の米屋のおじいさんが亡くなった。テレビの前でリモコンを握ったまま息をしていないのを家人が見つけ、大騒ぎになった。享年88歳。

 家業に勤(いそ)しむ姿を見て、「元気でいいですね」と言葉を交わしたばかりだったから死因が肺がんと聞いて、またもや驚かされた。近くでラーメン屋を営む娘の店で、「内緒だよ」とうれしそうにビールを飲む姿を何度か見かけた。

 がんの克服は早期発見が第一とされる。見つかればはっきり告知し、病気を理解し、納得して治療していくというのが普通のあり方となっているが、若い人ならともかく、高齢者にはどうだろうか。

 おじいさんが告知されていたらどうだったろう。しかも、末期がん。人生真っ暗、ビールなど飲む気にもならなかっただろう。余命まで告知され、気落ちした失意のうちに亡くなった高齢者を知っているだけに、知らない方がよいこともあるとつくづく思った。

 おじいさんは体力も衰え、あちこち痛がったりしても「年なんだからこんなもんさ」と深刻に受け止めず、医者にもかからなかったことがこの大往生につながったのだろう。お嫁さんも「最期まで嫁さん孝行のおじいちゃんだった」と笑顔で話し、「いい人だったものね」と皆、口々に話す。

 できれば私もあやかりたい。いい人じゃないからだめかしらと思いながら。

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