【ゆうゆうLife】就労デイサービス 仕事で意欲、生活改善も (2/3ページ)

2010.2.4 09:32

 就労デイは東京都の補助金を得て、介護保険の枠外で行われた。このため、参加者の年齢は63~96歳と幅広く、介護度も要介護3の認知症の人から介護保険未申請で引きこもりがちな人、アルコール依存症の人までさまざまだった。

 きずなでは参加者の趣味や現役時代の仕事を調べ、生きがいややりがいにつながる仕事を考えた。趣味がケーキ作りの女性には、キッチンでケーキやマドレーヌづくりを。元調理師(79)の男性には刃物研ぎを、元大工(67)という認知症の男性には、のこぎりを持たせるため、植木の伐採をしてもらった。いずれも家族などには「危ないから」と止められていることばかりだ。

 認知症でも仕事の誇りや意地は残っている。刃物研ぎにあたった元調理師の男性は安い包丁には見向きもしないが、桐の箱から高級包丁を出すと、「これはいい包丁だね」と目を輝かせて包丁研ぎに勤しんだという。

 チラシ作りや公園の清掃、幼稚園のお砂場整備など、複数で行った仕事もあるが、参加はあくまでも利用者判断。本村さんは「あてがいぶちの仕事では続かない。参加者がしたいと思う仕事の可能性を探るのが就労デイ」という。

 その結果、軽度認知症で月日の感覚を失いつつあった参加者が「デイの日」を意識したり、「仕事は午前9時から始めるもの」と時間感覚を取り戻したり、「家で研究するから酒を飲んでいる暇がない」と、飲酒の量が減るなど生活改善の効果もあった。また、幼稚園や飲食店など仕事を提供してくれた地域社会と顔の見える関係をつくる効果もあった。

 本村所長は「デイに参加せず外出もしない人は家にいたら寝ているだけ、酒を飲んでいるだけになってしまう。しかし、就労デイでは笑顔も意欲も出て、残業や持ち帰り仕事をするほど熱中した」という。

 仕事の報酬は昼食。喫茶店からカレーライスの出前を頼んだり、仲間と連れだってうどん屋にも足を運んだ。就労デイに携わったスタッフの多和田圭祐さんは「同僚と昼食に行くのは職場では自然なこと。でも、参加者らは外食の機会も少なく、そんなこともとても楽しかったようで、仲間同士で相談して注文を決めていました」と言う。

 大人気の就労デイだったが、東京都の補助金(年200万円)がなくなり、現在は休止中だ。参加者12人にスタッフは3人が必要で、経費はほとんど人件費。同ホームでは今後、介護保険サービスとしての提供を検討している。介護保険未申請の人をどうするか、看護職をどう確保するかなど課題は多い。本村さんは「工夫して続ければ、きっと受け皿になる仕組みもできる。先頭を走る者の役割は、新しいことを試みること」と話している。

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