2010.2.7 07:00
「ホリー・フルトン」(2010年春夏ロンドンコレクションから、アトリエ・スワロフスキー提供)【拡大】
ロンドンコレクションが「復活」を見せつけた。昨年9月に開かれた2010年春夏コレクションでは25周年を機に、英国ブランドが相次いで凱旋(がいせん)。英国の伝統的装いをとらえ直した提案はロンドンの成熟を印象づけた。ミリタリーのしなやかアレンジ、ニットのオン仕立てなど、ロンドンから吹く風は春の装いに役立つ「気づき」を運んでくれる。(ファッションジャーナリスト・宮田理江)
英国の老舗ブランド「バーバリー」のコレクションライン「バーバリー プローサム」がずっと発表の場に選んできたミラノを離れて、ロンドンのフィナーレを飾った。25周年最大のお祝いは、今や世界屈指のトレンドセッターとなった出世頭の里帰りだった。
代名詞的アイコンのトレンチコートはワンピース風のフェミニンなスタイリングに進化した。ドレープやシャーリングとの好相性は意外な発見だ。ミリタリー由来のトレンチには男性的なイメージが強いが、このセクシーな着こなしは素敵(すてき)に常識を裏切る。無愛想になりがちな通勤ルックにも愛くるしさが加わるから、春先に試してみたくなる。
英国王室御用達の「プリングル オブ スコットランド」もミラノからロンドンに戻った。お得意のニットで仕立てたワンピースやテーラードジャケットは英国ニット文化の奥行きを感じさせる。もともとは普段着のニットを、エレガントに仕立て、着ていける場の可能性を広げた。スコットランドの自然から着想を得たコレクションはナチュラルでノーブル。縄のように太く編んだ「ケーブルニット」は表情が深い。
新鋭・中堅はロンドンらしい若々しいチャレンジを続けた。「ホリー・フルトン」はアール・デコをデジタルっぽくアレンジしたようなモチーフを全身にあしらい、幾何学的でシャープな表情に仕上げた。スワロフスキー・クリスタルを服に施したジュエルドレスや、平面的なビッグネックレスなどのアクセサリー使いも目新しい。
「メアリー・カトランズ」はデジタルプリントの技を見せつけた。全身を包んだダイナミックな総柄がアイキャッチー。ビッグモチーフの大胆なプリントはインパクトたっぷりで、まとう人のモチベーションまで高く見せる。
「ルイーズ ゴールディン」はフリルを過剰なまでに取り入れた。フリルは甘くて子供っぽい印象があるが、そんなイメージを打ち破る押し出しの利いた大人顔のフリルだ。ボディーコンシャスなニットを披露したのは「マーク・ファスト」。編み目越しに肌を露出する開放感ある着こなしはポジティブな印象。ふくよかなモデルの起用もおしゃれの枠を取り払う試みと話題を呼んだ。
ストリート感やエッジィさが強すぎる傾向がこれまでのロンドンにはあったが、今季はぐっとリアルモード色が濃くなった。トレンチやニットなどの「英国遺産」を逆手に取るしたたかな新解釈は「ロンドン復活」を誰の目にも鮮やかに焼き付けた。
■各ブランドの問い合わせ先は次の通り。
「バーバリー プローサム」=バーバリー・インターナショナル((電)0120・046・225、「プリングル オブ スコットランド」=PMD JAPAN(電話06・6252・1815)
「ホリー・フルトン」「メアリー・カトランズ」「ルイーズ ゴールディン」「マーク・ファスト」=アトリエ・スワロフスキー(www.atelierswarovski.com 電話(電)03・3455・0750、パブリシスト)
■みやた・りえ 複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積んだ後、バイヤーやプレスも経験。ファッション業界の現場経験を生かしたコレクションやトレンド情報を発信している。オールアバウト「NYファッション」ガイド(http://allabout.co.jp/fashion/nyfashion/)。