2010.3.4 09:52
積み上げた信頼 回復になお時間
介護サービスを受ける高齢者や家族にとって、気心の知れたケアマネジャー(ケアマネ)の交代はストレスだ。しかし、介護度が要支援から要介護に悪化すると、ケアマネは原則、交代する。家族からは「高齢者には昨日と同じ明日が来ることが一番大切。ケアマネが交代せずに済むようにならないのでしょうか」との声が上がっている。(佐藤好美)
千葉市に住む会社員、佐野香さん(35)=仮名=の祖母(91)は一昨年、要支援1の認定を受けた。祖母は祖父(95)と2人暮らし。ヘルパーさんが来てくれればありがたいと、介護保険を申請した。
介護保険を使うにあたり、ケアマネから説明を受けたのは主に家長の祖父。その大変さを佐野さんはこう話す。
「祖父は耳は遠いけど頭はしっかりしているし、猜疑(さいぎ)心は強いし、何もかも分かっていないと気に入らない。なぜ他人がわが家に入るのか、来ると何をしてくれるのか、介護保険ではこれはできるけどこれはできないとか、費用はこの事業者が口座から引き落とすとか、納得してもらうのに延々と時間がかかりました」
それでも、祖父はぎりぎりとケアマネに質問した末に事態を了解。ヘルパーさんが入り、祖母は予防リハビリに通う生活が始まった。「祖母は『体が楽になった』と喜んでいたし、ヘルパーさんのおかげで生活も楽になった。みんなが良かったと思っていました」と佐野さん。親族も頻繁に顔を出し、安寧な日が過ぎた。
ところが半年後、祖母は要介護1に悪化。ケアマネ交代と予防リハが使えなくなる話が持ち上がった。大変だったのは祖父への説明だ。「やっとケアマネさんとツーカーになったところだったのに、また初めての人がやってきて説明の仕直し。新しいケアマネさんから『ご家族さん、来てください。1時間話してもらちがあかないです』と電話があり、叔父の臨席で祖父に説明し直してました」と、佐野さんは振り返る。
騒動の末、ケアマネは交代。祖母は新しい通所リハ参加をしぶっている。佐野さんは「せっかく積み上げたものをガラガラガッシャーンと、ひっくり返すみたいな作業でした。元気な人は順応できるけれど、高齢者には昨日と同じ明日が来ることが一番大切なんだって実感しました」と話している。