2010.3.10 05:00
■個人と職場改善 人材育成システム開発
--職場の人間学やコミュニケーションを研究テーマとしているが、企業の人材育成はどう変遷しているか
「1970年代までの大量生産の時代は、安価な労働力を確保するため徹底的に作業手順を教え込み、それを忠実に実行してもらう手法が主流だった。80年代はホワイトカラーが増えて計画的なOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)に比重を置いた。90年代以降はリーダーシップ育成を目的としたキャリア研修に力を入れている。だが、現在は人が育ちにくい時代だと認識している」
--その理由は
「一昔前までは、ベテラン社員に若手をつけることが暗黙のうちに行われていた。しかし、バブル崩壊やグローバル化の進展によって多忙感が増し、何よりもスピードが求められるようになった。時間をかけても構わない仕事を若手に切り分けることが難しくなったからだ」
--今後の人材育成には何が必要となってくるか
「今までは人材育成イコール研修だったが、実は人間を成長させるには職場の存在が重要だ。そこでの体験が専門性やキャリアの向上につながるからだ。ただ、人事部にとって職場は一種のブラックボックス。育成面でマネジャーが果たす役割は大きいものの、人事部は現場で何が行われているのかを十分に認識しておらず、介入することも難しい。企業が成長するにはボックスの中を明らかにする作業が不可欠だ。その結果、『この職場は上司の力が強く、オープンなコミュニケーションが進み若手が成長している』といった事実を把握できるようになれば、さまざまな波及効果が生まれることになる」