2010.7.20 14:58
77歳男性の腎動脈狭窄症の画像。矢印部分の血管が狭くなっている(中村教授提供)【拡大】
■高血圧、心不全の原因…自覚症状は乏しく
全国に約4千万人が持っているといわれる高血圧症。その原因の一つに、生活習慣病などに加え、主に動脈硬化で腎臓の動脈が狭くなって起こる「腎動脈狭窄(きょうさく)症」がある。これまで首や心臓の動脈硬化と比べて関心が薄かったが、専門家は「原因がよく分からない心不全などの場合に疑ってみる必要がある」と指摘する。(草下健夫)
≪全国で250万人か≫
腎動脈狭窄症になると、腎臓に十分な血液が流れにくくなり、腎臓の機能が低下。悪化すると腎不全となって透析が必要になることがある。高血圧を引き起こしたり、心不全の原因になったりすることも分かってきた。
東邦大学医療センター大橋病院(東京都目黒区)循環器内科の中村正人教授は「高血圧の人の5%ほどが腎動脈狭窄症といわれる。頸(けい)動脈に狭窄があったり、体のあちこちに動脈硬化があったりする人はよりリスクが高い。全国で推定250万人ほど」と、決してまれな病気ではないことを強調する。
腎動脈狭窄症になると5年後の生存率は約78%、冠動脈疾患を併せ持つと約45%にまで落ちる、との海外調査もある。
痛みなどの自覚症状に乏しく、高血圧や腎機能低下といった症状が出ないこともあり、潜在的な腎動脈狭窄症は多いとみられる。
腎動脈狭窄症の疑いがある患者に対しては超音波検査のほか、CT検査やMRI検査などを併用して調べ、診断する。「腎動脈狭窄症と診断されないまま末期の腎疾患となり、透析に移行している患者がいるといわれる」と中村教授は指摘する。