電子書籍の将来は? 京極夏彦さん「紙のまねしないのが大事」 (2/3ページ)

2011.12.26 11:00

 --以前は電子書籍が紙の本を駆逐するとみる向きもあったが?

 「日本の出版には何百年という歴史があり、本という娯楽装置はほぼ最終形。電子書籍は(文章)素材の見せ方が分からないまま見切り発車している。いわば、料理の仕方すら分からず出しているものが、熟練のシェフ(編集者)が作った料理(本)に影響を与えるわけがない。出版不況の理由を電子書籍に求めるのはナンセンスだ」

 --日本の電子書籍市場の将来をどうみるか

 「今のところ暗い。主導権を配信元のアップルやグーグル、アマゾンの米企業が握っているからだ。太刀打ちする力を日本の出版社は持ち得ない。このままでは出版社はただの中継ぎ業者になってしまう。出版社が頑張って、経済的、文化的に日本の出版文化を守る必要がある」

 --出版社を通さず、作家が配信先と直接契約を結ぶ形も想定されるのでは?

 「考えられる。ただ、小説は書いただけでは誰も読まない。(紙の本の場合)装丁され、本という商品になって流通しないと完成しない。紙の質からインク、活字の種類に至るまで目配せの効いた商品のほうがいいに決まっている。それは編集者の仕事。出版社はソフトを作る上で『自分たちが必要なんだ』という自覚をしっかり持ってほしい」