ぼくは前々からビジネスパーソンの語り口で気になることがあった。それは「うちの娘をみていると、最近の大学生ってこういう考え方をするんだね」というたぐいのセリフだ。普段つきあいのない世代の声の代表として自分の子供たちがベンチマークになる。そうだからか、あるいはそれでいながら親子のコミュニケーションに悩んでいる親が多い。
ここに冒頭に述べた問題の突破口へのヒントがないか、と思う。
まだアイデア段階であるが、「えるまっぷガールズ」が父親たち、決裁書にハンコを押す人達が一緒になって企業のグローバル戦略をたてるワークショップをやったらどうか、とぼくは考えている。娘がパパのグローバル戦略に示唆を与えるわけだ。
「そんな甘っちょろい発想でどうするんだ!」と一蹴している部下たちが日々あげてくる提案書の内容が、実は自分の娘のセリフと非常に近いと気づいた時、もうちょっと部下の話を謙虚に聞こうとするのではないか。
家庭のコミュニケーションギャップとビジネス現場の問題の根が同じであることに察知した時、クルマの両輪が回り始めるはずだ。
因みに、「十和田の裂織を世界で伝統継承」は2月24日ー25日、イタリアでワークショップを開催する。参加者の募集をかけたらあっという間に満員御礼になった。
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場をモノのローカリゼーションレベルから理解するアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だ。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。今年は素材ビジネスやローカリゼーションマップのワークショップに注力。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih