その結果、成長産業への人材の移動が進まず、産業の活性化の足を引っ張っているというのが民間議員の主張だ。長谷川代表幹事は「全面的な解雇の自由化を求めているわけではない。見直すべきものは見直そうという趣旨だ」と強調する。
これに対し、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎・統括研究員は「解雇を議論するならば、雇用形態のあり方も含めて考えるべきだ」とくぎを刺す。
日本企業の正社員は手厚く雇用が守られるが、代わりに企業の人事権が強く、勤務地や職種の自由度が少ない。濱口氏は「解雇しやすさを追求すれば、企業の権利だけがより強まり、不当な解雇が可能になる恐れがある」と指摘する。
再就職支援拡充 労働市場の活性化目指す
政府側も解雇ルールの明文化については「経営状況や雇用環境によって判断が異なるので難しい」(厚生労働省)と消極的だ。