いったい誰が、どういう目的で導入を決めたのか。山田知事も「使われたことがない」との説明にショックを隠さなかった。
仏像などの文化財保護に使えるという広々とした収蔵庫も2つある。
内部は桐の板で覆われ、山田知事が「博物館仕様になっている」と評価した立派な施設だが、ここも、文化財の保管では一度も使われたことがないらしい。なるほど、オープンから10年経過しても桐のいい香りがするはずだ。
「これでは誰も買わん」
「私のしごと館」は、8・3万平方メートルの敷地に立つ延べ床面積3・5万平方メートルの3階建て。
部屋や施設はまだまだたくさんあり、「しごと体験ゾーン」には、実験室的な設備を供えたブースがいくつもあった。3200キロまで運べるエレベーターも。山田知事は同館を研究拠点に転用する構想を描いており、「研究施設にぴったり」と喜んでみせたのだが…。開館中は、年10億円を超える赤字を垂れ流したという巨大施設、維持管理するだけでも大変そうだ。