高齢者が転倒する主な理由は武藤所長によると、(1)老化による衰弱(2)運動不足による体の機能低下(3)病気による体のひずみ-の3つ。脳梗塞や神経、脊椎の病気などが隠れているケースもあるため、「たかが転倒」と考えず、必要な検査や治療は受ける。
(1)や(2)は、衰えを把握することが予防の第一歩。日常生活の中では「片足立ちがしっかりできているかどうか」が判断基準となる。「立ったままズボンや靴下をはく、道を歩く、階段を上り下りする、浴槽をまたいで湯に入るなど、日常生活には片足立ちを基本とする動作が数多くある。これらの動作が難しくなったり遅くなったりした場合、老化が進んでいるサインといえる」(武藤所長)
そのうえで、一つ一つの日常の動作を意識してしっかり行うことを心掛ける。武藤所長は「例えば、『階段を上るぞ』と意識するだけで筋肉の使い方が変わり、踏み外すリスクが減る。階段は最後の一段まで気を抜かないことが大事」。
日光を浴びながらの散歩や体操、ストレッチング、プールでの水中歩行、音楽に合わせて行うリズム体操などで普段から体を動かすことも大事だ。自分に合ったものを選び、無理なく楽しく長く続けることを目指す。