「今の状況なら、消費税増税を実施しても景気を失速させない」と安倍政権は判断したはずだが、それでも国民はなぜ重い負担を強いられるのか? 2人のプロがそのカラクリを解き明かす。
景気回復でも給料は上がらず負担増に!
国民の税負担は増えるが、それ以上に所得が増えるように対策を打ちます--。安倍政権はこういった趣旨の説明(言い訳)をするが、「安倍政権の対策で給料は増えません!」と2人の専門家は口をそろえて断言する。「法人税の引き下げを実施しても、7割が赤字企業でこれまで税金を払っていなかったわけですから、まったく関係ありません」(荻原博子さん)
実際、過去に法人税が引き下げられた際にも、一度も給料は上がらなかったという。「消費税が引き上げられた一方で法人税が引き下げられた過去の局面を振り返ると、国民の平均所得は増えないどころか、むしろ466万円から377万円に減っていました。これに対し、企業の内部留保は100兆円から280兆円に拡大しています。結局、減税分は賃上げに結びつかず、配当と企業の内部留保に回ってしまうのです」(荻原さん)