「すみませ~ん、シャッターを押していただけますか」
弾むような足取りで駆け寄ってきたふたり組。化粧っけのない素肌はピカピカ。カジュアルなデニムとTシャツの上に学士ガウンをまとっているのが、ちょっとアンバランスで微笑ましい。高雄市近郊に住む女子大生で、6月の卒業を控えて記念写真を撮影しに来たそうだ。
高雄市の「哈瑪星(ハマシン)」と呼ばれる地区には、鉄道ファンなら見逃せない鉄道展示資料館「打狗(タカオ)鉄道故事館」がある。これは1908年に開業した台湾縦貫鉄道(西部幹線)の高雄港駅の駅舎を再利用したもの。高雄港駅は2008年に廃線になったが、機械式信号塔や19世紀のプラットフォームなどが残っていることから、周辺の線路や敷地とともに保存されることになったという。
女子大生のお目当ては、CT251とDT609の2両の蒸気機関車だ。1979年に西部幹線が完全電化され、蒸気機関車は全面的に引退したが、2011年からここで展示され、再びスポットライトが当たった。