そればかりか、触れるものを凍らせてしまうというやっかいな存在だ。そんな存在であっても、この作品は包みこむように肯定している。この肯定感が、見る人を幸せにしているのではないか」と推測する。
「今の社会には閉塞(へいそく)感があり、逃げ場がないと感じている人は少なくないだろう。そんな中にあって自分を肯定し、脱出できると信じさせる力がこの映画にはあるのでは」
リアルな女性心理
作品にはアナと婚約するハンス王子、アナの冒険を手助けする山男のクリストフといった男性キャラクターも登場するが、湯川さんと映画評論家の渡辺祥子(さちこ)さんがともに指摘するのは、この映画が「白馬の王子様は迎えに来ない。自分を信じるしかない」というメッセージを発している点だ。
監督は2人で、脚本のジェニファー・リーが、ディズニー作品で初の女性監督を務めた。渡辺さんは「今までのディズニーヒロインはかわいくて守ってあげたいタイプが多かったが、今回は女性の心理描写が実に現実的になった。今までにないディズニー映画を作りたいという女性監督の意欲が感じられた」と話す。