ところがどうも雲行きが怪しい。3駅目のバンスージャンクション駅で20分間停車したのを皮切りに、乗降客で賑わうアユタヤには、定刻より28分遅い8時35分に到着。アユタヤ駅で観光客がどっと下車すると、車内はローカル色がぐっと濃密になった。この列車がおもしろくなるのは、これからだ。
列車は8両編成で、前から機関車、バイクも乗せられる貨物車両、トイレ、僧侶のための優先席が設けられたクロスシートの3等車、レストランカー、トイレ、クロスシートの3等車、トイレ、クロスシートの3等車、2席×2列の2等車、トイレ、トイレ、窓の開かない冷房車で構成されている。
全車両をくまなく探検できたのは、縦横無尽に行き来する売り子たちのおかげだった。このエピソードはまた後日。
■取材協力:タイ国政府観光庁
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。