ぬいぐるみが名所をめぐったり、図書館で本を読んだり-。そんなファンタジーのようなツアーやイベントが盛況だ。その様子を収めた愛らしい写真は、大人に癒やしを、子供にはわくわくする体験を提供するサービスとして、人気を集めている。(戸谷真美)
ツアーネット配信
ぬいぐるみ専門の旅行代理店「ウナギトラベル」(東京都港区、unagi-travel.com)には、宅配便で毎日「ツアー客」が到着する。東京ツアー(3700円)の場合、浅草や東京タワー、明治神宮などの名所をめぐり、参拝をしたり展望台から景色を眺めたり。途中、もんじゃ焼きやすしなど「客」の好みに合わせた「昼食」もとる。
ぬいぐるみは、同社代表の東園絵さん(39)が公共交通機関を使って運び、ツアーの様子を写真に収め、フェイスブックやツイッターでリアルタイムに持ち主に配信。1回のツアー定員は6~7体程度だが、毎回ほぼ満員。昨秋、海外メディアが紹介したことで、欧米からの参加が2割に上るという。
鹿児島市に住む竹之内愛さん(33)は6月、雷のぬいぐるみ「ゴロ」を横浜ツアーに出した。ぬいぐるみが大好きで「感情をもって動いたらいいのに」と思っていたが、大人になるとそんな気持ちは理解されにくい。だが、フェイスブックには同じような持ち主の声があふれ、新しいつながりができた。竹之内さんは車椅子のため遠方の旅行が難しいこともあり、「世界観を共有できるのがうれしいし、自分自身が励まされる」と話す。