20年までにタブレット1人1台… 教育現場、有効活用へ試行錯誤

2014.7.19 18:05

 【ICTで変わる教育】(上)

 ■子供の興味・関心を引き出す

 全ての小中高校の教室で、1人1台のタブレット端末などの可動式コンピューターを使う時代が来る。世界最先端のIT先進国を目指し、国が教育のICT(情報通信技術)化を推進、2020年までに「1人1台の情報端末」を掲げる。しかし、学習にどう生かすのか、どんな教材がより学習効果を高めるのか-。教育現場での試行錯誤が始まっている。

 ネーティブの発音 

 「文章中の英単語をクリックすると、電子辞書が開きます。文章中にない単語の検索も可能です」

 5月21日から3日間、東京ビッグサイトで開催された学校向けIT見本市「第5回教育ソリューションEXPO」。あるブースでは1人に1台タブレット端末が配備された近未来の教室を想定し、デジタル教科書を使ったデモ授業が開催された。

 英語の授業の先生役は日本人だが、端末から流れるのは母国語のネーティブの音声。日本人では正確な発音が難しかった単語も、指でなぞるだけで何度も聞きながら練習できる。自宅に持ち帰れば、自主学習にも役立つ。

 教科書のデジタル化で学習効果が上がると期待されるのは語学だけではない。グループで課題を調査して発表する「調べ学習」▽理科の実験や数学の図形展開▽書道の筆遣い▽家庭科の調理実習-など動画や画像を示すことで授業は格段に分かりやすくなる。見学した教員の一人は「子供の興味、関心が高まり、授業での子供たちの集中力を高められる」と前向きだ。

 子供主体の授業

 国に先駆け、全校的なICT化を進めているのは平成18年開校の私立「立命館小学校」(京都市北区)だ。教員が1人1台のパソコンを持ち、教材をネットワークで結ばれた共有ファイルに保存。過去の授業の様子も全員が把握できるため、授業準備の効率が格段に上がった。

 5月末、電子情報ボード(電子黒板)を使った一斉授業を見学した。英語の授業ではボードに建物の画像が次々と現れた。児童は「ホスピタル(病院)」「ポストオフィス(郵便局)」「アパートメント(集合住宅)」などと瞬時に読み上げ、よそ見をする暇もないほどの集中力だ。同小は5、6年生に1人1台のタブレット端末を導入。夏休み中は自宅に持ち帰り、英語の音声教材と算数の課題をこなす予定だ。

 立命館守山中学・高校(滋賀県守山市)では1人1台のタブレット端末を使い、ネットワーク上にある教材から自分に適した課題を学習するプロジェクトを開始。個々の学習の進度に合わせて適切な課題を出すことで、「全ての生徒の習熟度を同じにしたい」(亀井且有校長)とする。

 茨城県古河(こが)市で公立学校のICT化に取り組む同市教育委員会の平井総一郎・指導課長は「ICTは便利な道具。『授業が良くなった』『子供たち主体の授業ができた』と教諭自身が実感すれば成功だ。タブレットはさまざまな使い方が可能。1人1台になれば、(ICT化されていない)現状からは思いもつかない形で子供が主体になった学習もできる」と期待を込める。

 ICT化で何が変わるのか、学習効果の検証は始まったばかりだ。現場での取り組みを追った。

 ■半数の教員が活用に不安

 国は今年度から平成29年度までに、児童・生徒3.6人に1台の教育用コンピューター、全普通教室への電子黒板の導入などのため、総額6712億円を充てる。

 しかし、ICTの活用に不安を感じる教員も多い。文部科学省の実態調査(昨年3月1日現在)によると、「授業中にICTを活用して指導できる」と回答した教諭(小中高)は、「わりにできる」「ややできる」を合わせて約67.5%。また、民間の教育研究所が昨秋、全国の小中学校教員約1600人に聞いたところ、半数がICT活用を「不安」と答えた。

【用語解説】ICT

 Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。単なるIT(情報技術)ではなく、知識の共有や伝達に重点を置いた言葉。

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