【書評】『古代エジプトの埋葬習慣』和田浩一郎著 (2/2ページ)

2014.7.27 09:48

 本書の新鮮さは、人間の埋葬を経済活動の面からとらえることや、エリート層以外の埋葬をこまやかに見ている学者の目配りにある。

 古代中国では、人の死後に天に昇る魂と地に還(かえ)る魄(はく)という2つの存在が考えられていた。古代エジプト人も人間の不可視の要素を、「カア」と「バア」に分けて考えた。霊魂と同様に人は死後も存在を続け、これらが肉体を介して再合一を果たすことで来世での再生が実現されると考えられていた。〈来世の世界「魂の行き先」、葬儀「ミイラ製作の手順」、墓を造る「理想の埋葬とは」、死者とともに-副葬品の意味「棺の役割と変遷」、来世の値段「ミイラ製作のコスト」、庶民と死「庶民の埋葬場所」〉。ナイル河のほとりの生活が保障される“死者が住む来世”を信じる庶民の生活史。快著だ。(ポプラ新書・本体830円+税)

 評・水口義朗(文芸評論家)

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。