あれだけの大作を残した有吉さんはすごい。それを支えたこのソボちゃんは、まさに女傑だ。陰で支えることは、目立つよりもエネルギーが必要だし、人間としての品格も求められる。
「母は、祖母がいたから書けました」と、言い切る玉青さん。“いつも輝いていた”お母さん、“好きというよりも、ほれていた”ソボちゃん。種類は異なるが、強い性格の2人の女性によって育てられ、気持ちのやさしい女性に成長されていることがわかる。
心温まる物語に、「書く」才能は母親からだろうと感じた。(有吉玉青著/平凡社・本体1500円+税)
【プロフィル】森英恵
もり・はなえ パリ・オートクチュール組合に属して活動を展開した唯一の東洋人デザイナー。彫刻の森美術館館長。