【書評】『途上なやつら』まさきとしか著 (1/2ページ)

2014.8.10 15:29

『途上なやつら』まさきとしか著(中央公論新社・本体1800円+税)

『途上なやつら』まさきとしか著(中央公論新社・本体1800円+税)【拡大】

 ■共に生きる人が必要なのだ

 旅の「途上」。計画の「途上」。発展の「途上」-。それはゴールの設定された言葉だ。けれど道のりの長さは決められてないし、必要な力も時間も教えてもらえない。たいていは、矢印の先が尖(とが)っているほど擦り減ってゆき、いろんなものを失ってゆく。

 物語は、小学5年生の純矢が実の母親に「捨てられたらしい」ところから始まる。母親のメモに従って身を寄せたのは、「デブのくせに」嘘みたいにド派手でぴちぴちの服を堂々と着こなす歌子の元。その母親らしい政江に加え、なぜか血の繋(つな)がりのない居候たちが一緒に暮らしている妙ちきりんな家だった。

 夕食の献立をいちいちファミレス価格に換算し(!)、差額に満足してから腹に入れる。そんな清々(すがすが)しいほど徹底した実利主義の純矢の目に映る居候たちは、どれも「平均以下」の大人ばかり。「四十一歳なのに家も仕事もない」太助や「六十二歳の引きこもりじじい」江口の姿を見て、彼は心底訝(いぶか)しむ-「生きてる価値なさすぎる」。

すこしずつ浮かび上がる矢印が、読み手の「途上」を照らす

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