粉ミルクは国の法律で「乳児用調製粉乳」として成分組成の基準が定められ、現在製造しているのは国内の乳業会社など6社。各社とも基準を満たした上で、独自の研究に基づいた母乳成分を配合している。
森永乳業(本社・東京)は昭和35年に初めてオリゴ糖を配合した粉ミルクを発売。61年には、出産直後の初乳に多く含まれ抗菌・抗ウイルス作用のあるタンパク質の一種「ラクトフェリン」を世界で初めて粉ミルクに添加した。
粉ミルクは母乳にどれほど近づいたのだろうか。同社栄養科学研究所の副主任研究員、和泉裕久さん(36)は「最近見つかった新しい成分もあり、これからさらに見つかる可能性がある。量と質だけでなく比率も重要で、まだまだ研究の途上です」と話す。
数種類のオリゴ糖を摂取すれば腸内環境を改善する効果が上がることが分かり、今年4月から3種のオリゴ糖を加えた。脳神経系などの発達に重要な役割を担う脂肪酸「ドコサヘキサエン酸(DHA)」と「アラキドン酸」を日本人の母乳と同じ比率で配合するなど、さらに母乳に近づける工夫を続ける。