【書評】『大衆の幻像』竹内洋著 (1/2ページ)

2014.9.14 14:24

 ■「疑似知識人」横行を防ぐ道

 本書は知識人と大衆の関係についてあらためて考えさせられる好著だ。

 著者は、知識人の好む「正義」の主張の背後に、権力への自覚なき欲望を見て取る。だから、知識人の集合体は無自覚の権力集団になりやすいということになる。

 しかし、読書離れが進行し教養が衰退しつつある現代は、その覇権が失われつつある時代でもある。

 著者の問題提起を評者流にまとめれば、近代社会は知識人の覇権が確立する時代だったが、その没落が現代の一つの主題だということになろう。

 確かに、学部自治の名前のもとに守られてきた大学知識人は、大衆の圧力による大学改革の前に、改革業務に追われ、学生から講義を評価され、大学院生・博士の過剰生産をさせられてで、著者も言うように明確に弱体化し始めている。

 著者の意を発展させて述べれば、最近の科学をめぐる大きな失態も、安易な大学院入試と博士号授与、大学院を無理やり結びつけた研究拠点作り、一部機関への集権的投資(背後には地方大学の衰退がある)などの圧力とそれによる内部的空洞化に起因するということだ。

冷静な分析による悲観は楽観を生む

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