■患者の不利益上回る利益あるか
東京電力福島第1原子力発電所事故による放射性物質の拡散は、福島に住む人たちに健康への不安を抱かせた。特に子供への健康影響が心配され、さまざまな対策がとられた。事故から3年半が過ぎ、対策の是非が問われている。福島の子供の健康をめぐる問題を考える。
不安に応える
「娘の甲状腺に異常が見つかった」。兵庫県に住む男性(73)は福島県郡山市に住むめいからこんな手紙をもらいがくぜんとした。めいの娘は原発事故のとき、小学2年生。甲状腺の異常と聞いてまず思ったのは甲状腺がんだ。どの程度の異常なのか詳しく知りたかったが、手紙には「そっとしておいてほしい」と書き添えられ、自分から聞くわけにもいかない。
男性は「郡山は原発から50キロ以上離れているから大丈夫と思っていたが、大丈夫じゃなかったのかもしれない。事故後すぐ、子供だけでも兵庫県に避難させるように言えばよかった」と悔やむ。