平尾昌晃さんと対談する山口洋子さん(右)=平成10年3月【拡大】
あまりにも急で、ショックです。僕の心にぽっかりと穴が空いたようです。ああいう詞を書ける人はほかにいないので、歌謡界にとっても大きな損失です。
《山口さん作詞、平尾さん作曲で数々のヒット曲を手掛けた。中でも、2人が五木ひろしさんに提供したヒット曲は数多い。きっかけは、五木さんが昭和45年にテレビ番組「全日本歌謡選手権」で10週勝ち抜き、グランドチャンピオンとなったことだった。山口さんと平尾さんは番組の審査員だった》
このとき、山口さんが「平尾さん、歌を作りましょうよ。私も平尾さんのファンだから、ぜひやりたいわ」って言ったのが始まりでした。4、5編の詞を用意してくれました。その中の一つが「よこはま・たそがれ」です。最初は「何、これ」ってびっくりしましたよ。
《「よこはま・たそがれ」の歌い出しは名詞が続く斬新なものだった》
これで歌になるのかってあせったんですけど、この詞には独特のリズムがあることに気づいたんです。普通の演歌は五七五が多いんですけど、この歌は四四七なんです。それがとてもリズムに乗りやすい。僕はすっかり創作意欲に駆られて。五木君は地味だから、華やかにした方がいいかな、じゃあロック歌謡みたいなのはどうかなって提案したんです。それであの弾むような曲調になりました。