29日開かれた政労使会議で安倍晋三首相は、前年に続き、企業の「賃上げ」実施に強い期待感を表明した。業績好調な輸出企業を中心に、消費税の再引き上げへの対応や景気の下支えの必要性などを理由に、賃上げを容認する言動が目立つ。ただ、首相がもう一つ提案した「年功序列の賃金体系の見直し」については、実質的な賃下げにつながる可能性があるとして、組合側の警戒感が強い。2年目の“官製春闘”の成否を決める重要テーマとして浮かび上がった。
「今は日本経済がデフレから脱却できるかの正念場。何が必要かの認識を政労使が共有すべきだ」。政労使会議出席後に記者会見した経団連の榊原定征会長はこう述べ、経済の好循環のため政労使が足並みをそろえる必要性を強調した。
2015年春闘の相場形成に大きな影響を与える自動車業界では、ベースアップ(ベア)に相当する賃金改善に関し、2年連続となる統一要求を打ち出す動きが強まっている。