右の図式化の際、古代ギリシャ哲学から現代哲学に至るまでの大哲学者たちの言説を把(とら)えて、一人一人批判し、ぶっつぶしつつ具体的に創りあげており説得力がある。難解とされるカントやヘーゲルの主張などあっさり分かってしまい、なんだかあっけない。
著者は「哲学者の論理などに期待せず、一言一言ひっかかることなく、静かに寄り添うように読む、これが哲学の書き物を楽しむコツである」と言う。自分の頭で考えて読めということであろう。近頃流行のコピペ論文、コピペ言説に対する痛烈な批判ともなっている。若い人にぜひ読んでほしい本の登場である。(ちくま新書・800円+税)
評・加地伸行(立命館大フェロー)