■歴史書に記された人の暗黒面
紀元前500年から約1500年間の中国史を記した『資治通鑑(しじつがん)』は、『史記』や『漢書』と並ぶ超一級の歴史書でありながら、日本では現代語の全訳が出版されたことがなく、現在も抄訳しか存在しないのだという。1万ページという膨大な分量と「編年体」というスタイルが壁になっているそうだが、著者は〈論語や十八史略だけを読んでいる限りでは中国は永久に分からない〉と記す。同書に記された膨大な人間ドラマからあえて非道、悪逆、陰惨なものを選んで紹介。人間のダークサイドに打ちのめされつつ、目を背けずに歴史と向き合う必要性を痛感。(806円、角川SSC新書)