【書評倶楽部】資生堂名誉会長・福原義春 『日本人の身体』安田登著 (1/2ページ)

2014.11.16 13:26

福原義春さん

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 ■境界の曖昧さが生む精神性

 芭蕉に、「閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉(せみ)の声」という有名な句がある。これは、蝉の声や姿だけを詠んだものでも、それを聞く自分を詠んだものでもない。蝉の声を含む静かな空間そのものを五感で受け止め、環境と自己が一体になった「状態」を詠んだ句だと私は解釈している。

 本書は、このような日本人の感覚や思考の特質を身体性の観点から縦横無尽に語ったものだ。といっても、著者自身が「本書には『結論』はありませんし、閉塞(へいそく)感を打破するための方策も書かれていません」と記すように、その語り口に断定的な押しつけはない。

 日本人の身体性の特質は、境界が曖昧(あいまい)であることだと著者はいう。「からだ」という言葉の前に「み(身)」、つまり身体と魂が一体の心身未分化の状態があった。そして、本来は男女の境界も、自己と他者の境界も曖昧であることを、古事記や日本書紀、和歌、漢字の由来などの事例から、わかりやすく解説してくれる。

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