【書評】『ナショナリズム入門』植村和秀著 (1/2ページ)

2014.12.6 10:35

『ナショナリズム入門』

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 ■国家への愛着は多様なはず

 恐らく著者は、「書物」への愛着をもっている。と同時に、眼前の「現実」への激しい興味を抱き続けている。

 ドイツやユーゴスラビアで起きている事態は、何なのか。留学中、私の眼の前で起きたコソボとセルビアをめぐる独立運動を、どう理解すればよいのか-本当に深刻な衝撃をうけた人間は、必ずいったん立ち止まる。書物を手に取り、冷静に事態を位置づけ、把握しようとするのだ。現実に流されないように。

 著者は「ナショナリズム」を、まずは「ネイション主義」だと定義する。ではネイションとは何か。それは土地に対する愛着のことだ。特定の土地に降り積もった歴史を自らのものと感じる。祖国へのこだわりが「主義」となる、それをナショナリズムと定義することにしよう。

 日本は比較的同じ地域に人々が住み、土地へのイメージが浮かびやすい(地域単位ナショナリズム)。だがいっぽうで、旧ユーゴであれば事態はより複雑である。たとえば人々はバラバラの土地に暮らしながら、歴史を共有しようとするからだ(人間集団単位ナショナリズム)。世界にはさまざまな形のナショナリズムがあること、これを著者は、具体的な世界情勢と現実に寄り添いながら、一つ一つ分析してゆく。

国家への興味は、いろんな議論があっていい

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