【書評】『死に支度』瀬戸内寂聴著 (2/2ページ)

2014.12.13 12:30

『死に支度』瀬戸内寂聴著(講談社・1400円+税)

『死に支度』瀬戸内寂聴著(講談社・1400円+税)【拡大】

 同書は文芸誌「群像」に1年間連載された。東京都知事選で細川護煕(もりひろ)候補の応援演説に立ち、宝塚歌劇100周年式典に出席…と、実際にはいっこうに減らない著者の仕事ぶりが語られる。一方で、母や父、姉の死、作家・井上光晴氏や知己の老舗女主人の死…と、さまざまな人の死を描きつつ、やがて来る自分の死とも向き合おうとするあたり、僧侶作家の本領発揮といったところだろう。

 「ああ、死にたい! どうして私、死なないんだろう、もう生き飽きたよう!」。たびたび口走ってはモナにたしなめられ、弱気になったかと思ったら「次作は」との声に、ついついまた書く気がわいてくるパワーには脱帽だ。

 今年で御年92歳。司馬遼太郎さんをして「天性の作家」と言わしめた健筆はますます軽やかに、モナを得て新境地を開いた。幅広い世代に、多様な読まれ方をしているというのもうなずける。(講談社・1400円+税)

 評・山上直子(論説委員)

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