正しい知識を
中小企業の技術が狙われるのは、知財保護の対策が大企業に比べ遅れているからだ。経済産業省が平成25年に発表した約3千社を対象にしたアンケートでは、秘密保持契約を取引先と全く締結していないと答えた企業が13・7%。その多くは中小企業が占める。冨宅弁護士は、秘密保持契約の締結が進まない背景について「中小企業の多くが知財の専門部署を持たず、技術流出を防ぐ知識が備わっていないのが要因」と分析する。
日本では特許を出願すると1年半後に出願した技術内容が特許庁の広報文書などで公開され、模倣される恐れが高まる。そのため、大企業は自社製品などの重要なノウハウについて特許を出願せず営業秘密として秘匿する場合が多い。
特許を取得していなくても、取引先との秘密保持契約などで営業秘密を保護しておけば万一、流出した場合もせめて訴訟を起こすことはできる。しかし、「特許を登録していない技術情報は法律で保護されない」と、あきらめている中小企業の経営者が意外に多いのだという。