一方、水戸を中心とした北部では人口減少や大型店の撤退などが続き、山間部の過疎地域も増加傾向にある。エリア内には日立市や、ひたちなか市(旧勝田市)があり、日立製作所の関連工場が多い。戦前や高度経済成長期には人口が流入し活況を呈していたが、日立は本社機能を東京に移転してしまい、地方税である法人税が地元に落ちない。「地域の中小企業からは疲弊した声しか聞こえてこない」と言う。
茨大はこの南北問題のあおりを食らっている。入試合格者が南、つまり併願先の首都圏の大学に流れてしまうのだ。「優秀な学生を確保するには南北問題の解消が必要。地域の高校や若い人に振り向いてもらえるような目玉事業を発信していかないと」と米倉副学長。
その一環で今年3月末「いばらき地域づくり大学・高専コンソーシアム」を作った。茨城大、茨城キリスト教大(日立市)、茨城工業高等専門学校(ひたちなか市)、常磐大(水戸市)の4校が協議会をつくり、インターンシップや校外授業などの共同事業を行う。いずれは入試の広報やオープンキャンパスも共同で、という声もある。少子化で学生の数が先細りになるなか、独自で戦うより連携を強化した方がいい。米倉副学長は最後に「キーワードは協業ですよ」と締めくくった。